私にとってレストランとは単に食事をする場所ではなく、その場や時間、思いを共有する場所です。
一緒に食事をする相手、シェフやスタッフ、料理、器、空間。
例えば会話のテーマは多岐にわたります。だからこそ、同じ空間で食事を共にして様々な事柄を共有することは、非常に理にかなっていると思うのです。
そんな理(ことわり)をこのレストランは大事にしています。
明治から大正期にかけて、日本最初期の計画的な別荘地として開発された鵠沼海岸。ここはかつて、武者小路実篤や志賀直哉などの白樺派の文士、そして彼らと深い親交を持っていた画家・岸田劉生らが滞在し、それぞれの芸術を磨いた「日常と芸術が溶け合う場所」でした。
この地が培ってきた「静寂な別荘地の空気感」と、彼らが追求した「日常の暮らしの中にこそ宿る美(用の美の精神)」。この2つの歴史的文脈を、現代の食卓において体現しているのがRestaurant NORI et NOJIです。
大正期、柳宗悦やバーナード・リーチといった民藝運動の創始者たちと固い絆で結ばれた岸田劉生は鵠沼に居を構え、身の回りにある日常の静物や草木をモチーフに写実を極めました。彼らに共通していたのは、「特権的な鑑賞物ではなく、日常の暮らしや道具(器)にこそ、真に豊かな美が宿る」という価値観です。
ノリエノジの特徴の1つでもある自ら土をこね、窯で焼いた「自作の器」で料理を提供することはまさに「用の美」の精神です。
一般流通するものと比較しても目を見張るものがあります。乾燥したものですがそれぞれが生き生きとしています。
さらにその先にあるストーリー(オーガニックによる環境への配慮、生産者への持続可能性への取り組み、等)から見える自然、生産者、消費者、VOXSPICEに関わるものへの思いやりや優しさ。
その世界観やフィロソフィに深く感銘を受け続けています。
自然と導かれるように、都内ではなく鵠沼海岸でお店を構えた野地崎シェフ。
ぜひ美味しいお料理をいただきながら、癒しの時間を過ごしに行ってみてください。