2016/10/13 スパイスとイベント
古代ケルト人にとって、1年の終わりは夏の終わりを意味する10月31日、新年は冬の始まりである11月1日とされていたといい、31日の夜に収穫祭を行なう習慣が始まったと言われています。同時に、一年の最後の日にはこの世とあの世の境界が無くなり、死者の霊が家族を訪ねてくるとも信じられていたため、それらから身を守るために仮面を被り、魔除けのたき火を焚いていたとも。
これに因み、アイルランドでは31日の夜にカブをくりぬいて不気味な笑いを浮かべた提灯「ジャック・オー・ランタン(Jack-‘o-Lantern)」を作って飾る風習が始まったとのこと。つまり、ハロウィンのシンボルはカボチャではなくカブだったというわけです。また、子供たちが魔女やお化けに仮装して 「トリック・オア・トリート(Trick or treat「お菓子をくれないと悪戯するよ」)」と唱えてお菓子をもらう風習も、ケルト人の祭りに因んで始まったと言われています。
一方、アメリカにおけるハロウィンの始まりは19世紀と歴史は浅く、ケルト地域であるアイルランド等から大量に移民が入ってきたことがきっかけとのこと。当時のアメリカではカブが一般的に普及していなかったことからカボチャが代用されるようになり、現在では、むしろカボチャの方がハロウィンのシンボルとして認知されるようになったのです。
ハロウィンの本場アイルランドでは、「コルカノン(Colcannon)」という料理を食べるのがハロウィンの定番です。これは、茹でて柔らかくしたジャガイモに、ケールまたはキャベツを加えミルクで煮込んだ料理で、味付けは塩・コショウとシンプル。これにバターや、茹でたハム・ベーコンを合わせて食べるそうです。
また、アイルランドではリンゴもハロウィンのシンボルとされ、ハロウィンには必ず「アップルサイダー」が飲まれるとのこと。ちなみに、これは炭酸ではなく、シナモン等のスパイスを使ったホットのアップルドリンクです。その他、リンゴを沢山浮かべた大きな桶からリンゴを口でくわえて取る「ダック・アップル」という定番ゲームもあるそうで、リンゴをシンボルとする樹木・果実の女神を讃えるローマ人の祭りがケルト地域に伝わったことが由縁だと言われています。
そして、パーティが終わりに近づく頃に食べる伝統的なお菓子が「バームブラック(barmbrack)」です。これは小麦粉とベーキングパウダーにレーズン等のドライフルーツを入れて焼いたケーキで、斑点のように見えることから「小さな斑点のある」を意味するアイルランド語「ブラック(brac)」が名前についています。シナモンやナツメグ、オールスパイスを使って濃厚でスパイシーな味に仕上げるのがポイントです。このケーキにはちょっとした遊びがあり、中にコインや指輪、ボタン等を入れて焼きます。これをスライスして食べるのですが、自分のケーキに何が入っているかで1年の運勢、主に結婚に関する占いをするのだとか。
ぜひ、伝統的な料理やゲームで、本場アイリッシュスタイルのハロウィンを楽しんでみて下さい!
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現代ではアメリカの民間行事として定着し、それが様々な形で世界各国に広まっているハロウィンですが、実は、本場はアイルランドなのです。元々は、古代ケルト人による宗教的な意味合いの行事として始まったと言われています。