2016/12/15 スパイスとイベント
そもそも「ポマンダー」とは、ムスクなどの強い香料を練り合わせ、金や象牙の容器にいれたもののことで、古くからお守りや魔除けとして使われていたと言われています。
現代では、ファッションやリラックス、消臭などの目的で使われる香りですが、古代から中世の時代においては、人々の健康や幸せに関わりがあると考えられ、香りは非常に重要な意味を持っていました。
ポマンダーは中世のヨーロッパ、特に16世紀に最も流行ったと言われており、これは当時ヨーロッパでペストが大流行したことが大きく関わっているとのこと。自分の周りに良い香りを漂わせてバリアーを張ることで病気や不幸を遠ざける、と信じられていたことから、ポマンダーが魔除け・お守りとして使われるようになったと言われています。
このような歴史的背景もあり、現代も欧米では幸運を呼ぶシンボルとしてクリスマスや新年にポマンダーをプレゼントしたり、クリスマスにフルーツポマンダーを飾る習慣が残っているそうです。
オレンジポマンダーの作り方としては、丸ごとのオレンジを使い、まず全体を覆うようにクローブを刺していき、次にたっぷりのスパイスをまぶします。最後にそれを紙袋に入れて風通しの良い場所に吊るし、2〜3週間乾燥させるとできあがります。スパイスの粉はシナモン、オールスパイス、カルダモンなどを好みでブレンドします。
古代エジプトの時代にミイラを保存するための防腐剤としてスパイスが使われていた、というお話はこれまで何度もでてきましたが、このオレンジポマンダーも腐らないのが嬉しいポイントです。通常、生のフルーツは何ケ月も置いておくと当然腐ってしまいますが、このフルーツポマンダー、中には年単位で腐らないものもあるそうです。
とはいえ、生のオレンジを自然乾燥させて作るので、クローブの量が足りなかったり、気温・湿度共に高い夏場に作ると腐ってしまうこともあるため、空気が乾燥し気温が低くなる秋から冬にかけて作るのがベストです。クリスマスに向けて作るというのも理にかなっているのかもしれませんね。
香りが長続きするので、タンスやロッカーの中に入れるなど、ポプリやサシェと同様の使い方もできます。今年のクリスマスはオレンジポマンダー作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
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オレンジポマンダーとは、クローブを刺したオレンジにスパイスの粉をまぶして乾燥させた香り玉のこと。フルーツポマンダーとも呼ばれ、レモンなどの柑橘系フルーツやりんごなどで作ることもできますが、香りの高さからオレンジが使われることが多いようです。