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5000年もの歴史を誇るインドのスパイス文化

2017/06/15 スパイスと歴史

これまでスパイスの歴史にまつわるお話を度々してきましたが、スパイスの歴史において欠かせない国がインドです。インド料理=スパイス料理と言っても過言ではなく、インド料理とスパイスは切っても切れない関係です。今回は、そんなインドにおけるスパイスの歴史にせまってみたいと思います。

スパイス文化のルーツはインダス文明にあり

ターメリックをはじめ、コショウ、クローブ、シナモン、ジンジャー、カルダモン、といった古くから親しまれてきたスパイスはすべて、インドでは既に紀元前から利用されていたと言われています。特に、黒コショウやクローブは現在から5000年前にあたる紀元前3000年頃から使われていたといい、インドのスパイスの歴史はインダス文明の時代をルーツとしていると言われています。

インダス文明については、インド南西部に移住してきたドラヴィダ人がインダス川流域に文明を形成したという説が有力で、インダス川の水運を生かした交易を展開していたと言われています。その交易の中でメソポタミアやエジプトで栽培されていたスパイスが持ち込まれ、この頃にインド料理の原型が作られたとも。

その後、インド北西部に移住をしてきたアーリア人による支配が始まり、ドラヴィダ人はインド南西部へと移住することになります。インドの北部を支配したアーリア人はドラヴィダ人によるスパイスを使った食文化の基礎を取り入れつつ、交易範囲を広げた東南アジアのスパイスや食文化も取り入れたことで、様々なスパイスを使う料理へと発展させていったようです。

宗教上の菜食主義でスパイス料理が発展

このように、インドでは古代よりスパイスを使う食文化が既に確立していましたが、熱帯地域に属するインドの気候もスパイス料理の発展に関係していると言えます。暑い中で食欲を維持するためには、スパイスを多用する料理が適していたというわけです。

さらには、宗教上の菜食主義もスパイス料理の発展に大いに関係していると言えるでしょう。

他宗教国家と言われるインドですが、インド人の大多数を占めるのはヒンドゥー教で、神聖な動物とされる牛を食することは禁忌とされていることもあり、基本は菜食とされています。特に高位カースト階級では徹底した菜食主義が顕著です。

また、少数派とはいえ全土に1億人の信者を抱えるイスラム教では、不浄の動物とされる豚を食べることがタブーとなっています。

このように宗教上の戒律から野菜を中心とする料理が発達したと言われており、そこに、米、小麦、豆、乳製品などを組み合わせた食事がポピュラーとなっています。そして野菜中心の料理をバラエティ豊かにする存在がスパイスだったのです。

5000年以上前からスパイスを熟知してきたインド。その知恵を生かし、スパイスを巧みに使った風味豊かな料理を沢山生み出してきたのです。

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