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日本が誇るミックススパイス「七味唐辛子」

2017/11/16 スパイスの魅力

寒い季節にはアツアツのうどんや鍋物が食べたくなりますよね。ここにピリッと辛い七味をプラスすれば、さらに身体も温まります。今回は、そんな日本のスパイス「七味唐辛子」のお話です。

七味唐辛子とは、唐辛子をベースに様々な香辛料を調合した日本独自のミックススパイスで、一般に「七味」と略称で呼ばれます。実は、この「七味唐辛子(しちみとうがらし)」という名前は、元々は上方風(関西)のものだったそうで、江戸・東京(関東)では「七色唐辛子(なないろとんがらし)」、あるいは「七味」と書いて「なないろ」と読まれていたのだとか。近代以降、当用漢字が制定された際に、「七味(しちみ)」と統一されたと言われています。

その名の通り、唐辛子を主原料に7種類の香辛料を混ぜて作られることが基本となっていますが、生産者によっては必ずしも7種類とは限らないようです。また、副原料も生産者によって異なるそうで、調合によく使われるものとしては、芥子の実、陳皮(ミカンの皮)、胡麻、山椒、麻の実、紫蘇、海苔、青海苔、生姜、菜種、柚子など。調合のバランスとしては「二辛五香(にしんごこう)」とされ、辛さに特徴があるものが2種類、香りを重視したものが5種類と言われていますが、こちらも生産者や地方によって違いがあるようです。

土地の風土が香る七味

唐辛子は16世紀中頃にポルトガルから日本に伝来したと言われていますが、七味の歴史は江戸時代中期、日本の食文化にそばが登場したことに始まります。そばの普及と共に、七味も欠かせない薬味として次第に全国へと普及していきました。七味の普及は、その土地の文化や風土が反映される形で進んだことが特徴、そのため、地域によって原料の調合も多種多様なものになっていったのだとか。例えば、薄い味付けをする京都では、辛味よりも香りを重視した配合が好まれ、一方の関東では、ピリッとした辛さを特徴としたブレンドになっていったようです。

販売方法も独特で、それぞれの容器に入った原料を目の前に客の好みに合わせた調合をする形を取り、材料を説明する口上は大道芸の一種ともなるほどユニークなものだったと言われています。現在もいくつかの老舗では、店頭で好みの味に調合してもらうことができるそうです。

それぞれの土地が生んだ老舗の歴史

七味唐辛子の老舗といえば、東京・浅草寺門前「やげん堀・中島商店」、京都・清水寺門前「七味屋本舗」、長野・善光寺門前「八幡屋礒五郎」が有名です。いずれも200〜300年以上もの歴史を誇り、日本三大七味唐辛子と称されています。

浅草の老舗「やげん堀・中島商店」は、江戸時代初期寛永2年(1625年)にからしや中島徳右衛門が両国薬研掘(やげんぼり)にて漢方をヒントに七味を開発したのが始まり。この七味が江戸名物になったことから、別名「やげんぼり」とも呼ばれ、中には「なかじま」と呼ぶ人もいたのだとか。1942年に現在の浅草に店を移し、創業から十代にわたり調合販売という販売方式を続けているそうです。こちらの七味は、生唐辛子粉と焼唐辛子粉、2種類の唐辛子を使った、江戸っ子らしい辛さと胡麻の風味を特徴としています。

一方、西の京都に店を構える「七味屋本舗」は、明暦年間(1655〜1659年)に「河内屋」という屋号で創業。当初は茶店を営み、清水寺への参拝客などに無償で出していた「からし湯」が評判となったことが七味唐辛子を商うきっかけになったのだとか。当時の「からし湯」は白湯に唐辛子の粉をふりかけたものだったそうで、その後、様々な薬味を合わせ、七味唐辛子を創案したとのこと。香りを重視した素材選びを特徴とし、特に山椒は「山椒の善し悪しで風味が決まる」と言えるほど大事な素材と考えているそうです。

最後に、長野・善光寺前の「八幡屋礒五郎」。江戸中期元文元年(1736年)に、 初代室賀勘右衛門が七味唐辛子を善光寺境内で売り出したのが始まりで、室賀氏の源流、清和源氏の頭首・源頼朝が崇敬した八幡宮から「八幡」をとり、勘右衛門が商いでは「礒五郎」を名乗っていたことから「八幡屋礒五郎」という屋号になったのだとか。 原料の栽培に適した山国信州らしい独特の風味を特徴とし、山椒や生姜といった素材で辛味と香りの両方を立たせた七味になっているそうです。

いつものうどんやそばを一味変えるなら、ぜひ、老舗の暖簾をくぐって、自分好みの七味を調合してもらってみては?