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SPICE STORYスパイス物語

「スパイスの王様」今昔物語

2018/02/15 スパイスと逸話

はるか紀元前からの歴史を持つスパイス。実用的な利用に加え、様々なストーリーが語られてきました。今回は、そんなスパイスのお金としての価値にスポットを当てたお話をしたいと思います。

古代から貴重なもの、価値のあるものとして珍重されてきたスパイスですが、東西交易によるシルクロードが発達し、原産地のインドや東南アジアからヨーロッパに渡るようになるとその価値がさらに高騰します。当時のヨーロッパにおいて、スパイスがいかに貴重で魅力的な商品であったかは、その後に幕をあけることになる大航海時代が物語っていると言えるでしょう。

貨幣としての価値を持っていた「コショウ」

では、スパイスの価値がどれだけ高いものだったのか。古代、中世のヨーロッパにおいて、スパイスは金や銀と同じ価値があったと言われています。中でも最も価値があると重宝されていたのが「コショウ」です。

例えば、古代ローマ帝国の時代には、原産地のインドからはるばる海路と陸路を渡ってヨーロッパに運ばれるまでに約2年を要したといい、コショウ一粒の価格は最低でも同重量の銀と同じ価値があったと言われています。また、中世のヨーロッパでは金と同重量で取引されていた時代もあったといい、給料や税金の支払いなど、貨幣の代用としても用いられていたという話もあります。

このように、この時代のコショウは入手が困難な希少性の高いものであり、ステータスのシンボルとしても価値はつり上がっていき、「スパイスの王様」として君臨していたのです。

現代のスパイスの王様は?

そんな「スパイスの王様」と呼ばれたコショウも、大航海時代を経て安定供給が可能になるとその価値は下がっていき、現代においてはリーズナブルな価格で簡単に入手できるスパイスとなっています。では、現在世界で最も高価なスパイスと言われているのはどんなスパイスなのでしょうか?それは「サフラン」です。

サフランとは、南ヨーロッパ・西アジアを原産とするアヤメ科の多年草植物「クロッカス・サティウス(Crocus sativus)」の雌しべを乾燥させたスパイスのこと。「Crocus」という名称は「糸」を意味する「kroke(クローク)」に由来し、その名の通り糸状の外観を持ちます。色は濃い赤色で水に溶かすと鮮やかな黄色に、香りはエキゾチックな芳香を特徴としています。サフランが生み出す鮮やかな黄色は、スペイン料理のパエーリャには欠かせないとも言われています。

実は、サフランの歴史は古く、紀元前から世界各地で香辛料や染料、香料などに用いられていたとのこと。最初に本格的に栽培がされたのはギリシャとされ、古代ギリシャではサフランが生み出す黄色を珍重し、王族だけに使用が許されるロイヤルカラーとされていた時代もあったのだとか。現在の主な生産地はイラン、次いでスペインで、この2国で世界の生産量の80%を占めると言われています。

サフランが高価な理由はその希少性にあります。スパイスに使われるのは、1つの花からとれる3分裂した1本の雌しべのみであり、1gのサフランを得るためには約160個の花が必要とも言われています。また、雌しべの摘み取りは1本1本手作業で行なわれ、良質のサフランを入手するには熟練を要するとのこと。さらに、収穫の時期もサフランの花が満開になる一時期に限定されているのです。

このように、希少且つ手間がかかる性格上、サフランの価格が自ずと高くなるのもうなずけます。日本では等級により価格に差があるものの、1g当たり500〜1,000円で流通し、他のスパイスに比べて高価となっています。パエーリャの本場スペインでもサフランが高価であることから、「パエーリャにサフランは欠かせない」と言われながらも、実際は「ピメントン(pimenton、パプリカパウダー)」で代用されることも多いのだとか。

希少性の高さと手間を要することから世界で最も高価なスパイスとなった「サフラン」は、「現代のスパイスの王様」と呼ぶにふさわしいスパイスと言えるのではないでしょうか?