2019/01/24 スパイスの魅力
和辛子は粉末のままでは辛味も香りもなく、水に溶いて練ることで初めて独特の辛さと風味が出ます。ちなみに水の温度は40℃くらいのぬるま湯が最適とのこと。辛味を発生させる酵素が一番活発になり、辛味成分が一番良く出る温度なのだそう。また、練った後5〜10分おくことで辛味や香りが引き立つので、すぐに使わずに待つこともポイントです。ただし、和辛子の辛味成分は揮発性が高いので、長い時間置き過ぎると逆に辛さも香りも飛んでしまいます。理想は食べる分だけその都度練ることですが、多く作り過ぎてしまった場合の保存方法としては、酢やレモン汁を加えると辛味と香りの減少を多少抑えることができるそうです。
アツアツのおでんのお供というイメージがありますが、和辛子の辛味成分は加熱に弱いという特徴も持ちます。ですので、和え物やからし味噌、納豆に混ぜるなど、加熱しない料理に向いており、アツアツの料理にはあくまでも乗せる、塗るという使い方が好ましいと言えます。おでんや煮物など和食と相性の良い和辛子ですが、とんかつなどのパン粉料理や肉のソテーといった洋風料理ともマッチするので、お好みに合わせてバリエーションを楽しんでみてはいかがでしょうか。
このように少しデリケートな特徴を持つ和辛子ですが、もっと手軽なものとして市販のチューブ入りの和辛子があります。このチューブ入り和辛子は1970年代頃から家庭用にも販売が始まったと言われ、塩、油、調味料、香辛料、その他それほど多くはないものの添加物を配合するなどして、揮発しやすい和辛子の辛味や香りを保つべく工夫がされています。また、純粋に和辛子を使用したものもあれば、マスタードの原料であるシロガラシをミックスしたものもあるそうです。
チューブ入りのものは手軽で便利ですが、本来の「和辛子」の辛さや香りを味わうには、やはり食べる直前に和辛子の粉末を練って使うのが理想的。ぜひ、試してみて下さい!
「和辛子(和芥子)」とは、中央アジアを原産とするアブラナ科の越年草植物「セイヨウカラシナ」の種子の粉末を水で練って作られるもので、通常は「練りからし」、またはそのまま「からし」と呼ばれることの方が多いかもしれません。
別名を「オリエンタルマスタード」といい、香辛料としてインド・中国を経由して日本に伝来したと言われています。古くは日本国内でも栽培されていたそうですが、現在日本で流通している和辛子の原料となる種子のほとんどは、カナダからの輸入によるものとのこと。
ちなみに、通常「マスタード」と呼ばれる「洋辛子」はアブラナ科の別種「シロガラシ(ホワイトマスタード)」を原料としており、風味や辛さに大きな違いを持ちます。和辛子には「アリルイソチオシアネート」という成分が含まれており、わさびに似たツーンと鼻に抜ける強い辛味を特徴としています。