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オリンピック発祥の地の名誉の象徴「ローレル」

2020/02/20 スパイスと逸話

2020年になり、東京オリンピックももうすぐです。そこで、今回はオリンピックにまつわるスパイスのお話をしたいと思います。

オリンピック発祥の地ギリシャでは「ローレル(laurel)」が名誉の象徴とされています。ローレルはクスノキ科ゲッケイジュ属の常緑樹で、主に地中海沿岸で栽培されるため、南ヨーロッパで親しまれているスパイスです。肉の臭み消しに効果的で、ポトフなどの煮込み料理によく使われます。日本では「ゲッケイジュ(月桂樹)」と呼ばれ、その葉で作ったリースを「月桂冠」と言います。

オリンピックの勝者に贈られるのは月桂冠ではない?!

マラソンなどの競技で優勝した選手の頭上を飾る月桂冠。そのイメージもあってか、オリンピックをはじめとするスポーツの大会で優勝者に贈られるのは月桂冠と思っている方も多いはず。実は、本来スポーツの勝者に授与するべきものは月桂冠ではなくオリーブの葉で作ったオリーブ冠なのだとか。

この歴史は古代ギリシャに遡ります。古代ギリシャでは「オリュンピア祭」という現在のオリンピック大会の元となる神聖なお祭りがありました。このお祭りはギリシャ神話における最高神ゼウスに捧げられたものであり、盛大に行われていたと言われています。このオリュンピア祭の勝者に古代ギリシャの英雄ヘラクレスが与えたとされるのがオリンピアの庭に植えたオリーブの枝だったといい、これがオリーブ冠の由来となっているのだそう。実際、ギリシャで開催された2004年のアテネオリンピックでも金メダリストにオリーブ冠が授与されています。

月桂冠はアカデミックな分野における名誉の象徴

一方、月桂冠はというと、古代ギリシャのお祭り「ピューディア祭」にて名誉ある勝者に贈られたものなのだとか。ピューディア祭は古代ギリシャ神話の太陽神アポロンのための祭儀で、アポロンの父はゼウスであることからこちらも神聖なお祭りとされていたそうです。アポロンは詩歌・音楽・芸能・芸術の神でもあったため、文化芸術の各分野において優れたものにアポロンの聖樹であるローレルの葉で作られた月桂冠を贈ったとされています。

月桂冠は現在も「勝利」や「名誉」の象徴とされており、例えばノーベル賞受賞者のことを「Nobel Laureates (ノーベルのローレルを冠された者)」と呼ぶ由来にもなっています。また、国によっては修士課程を修了したことの証として、卒業式の際に月桂冠を身につける大学もあるそうです。

なぜスポーツの勝者=月桂冠のイメージが強くなったのか?

このように、スポーツの分野の勝者にはオリーブ冠、文化芸術の分野で秀でた者には月桂冠を授与する、というのが本来の形のようです。

では、なぜスポーツ競技の勝者にも月桂冠、というイメージが強くなったのでしょう。考えられる理由としては、オリュンピア祭、ピューディア祭共に古代ギリシャにおける神聖なお祭りであり、いずれも当時から4年に1度催されていたということ。また、ローマ帝国における闘技会の勝利者、中でも卓越した成績をおさめた者には月桂冠が与えられていたとされていること。このようなことからスポーツ競技における勝者にも月桂冠が贈られるようになっていったと考えられます。最近では、スポーツにはオリーブ冠と気づいた関係者も多いようで、月桂冠からオリーブ冠に変更した大会もあるそうです。

とはいえ、オリンピックと月桂冠はまったく無関係というわけでもなさそうです。実は、2016年に「オリンピックローレル(Olympic Laurel)」という賞の導入が始まりました。これは「スポーツを通じて教育、文化、開発、平和に大きな成果を上げた」人々を称えるため、国際オリンピック委員会(IOC)によって設立されたもので、授与されるトロフィーには五輪と月桂冠が施されています。

いずれにしても、ローレルが名誉のシンボルとして現在も広い分野で浸透していることに変わりはないようです。