2021/03/18 ハーブの魅力
レモンバーベナとは、クマツヅラ科イワダレソウ属の落葉低木で、「コウスイボク(香水木)」「ボウシュウボク(防臭木)」という和名を持ちます。アルゼンチン、チリ、ペルーを原産とし、17世紀にスペインによってヨーロッパにもたらされたと言われています。現在では世界中で栽培されているそうですが、熱帯性のハーブのため、寒さには弱いという特徴を持ちます。
3、4枚の葉が輪生する形で高さ1〜3mほどに成長し、夏の終わりに薄紫や白い小さな花をつけますが、ハーブとして使われるのは主に葉の部分。葉は鮮やかな緑色、大きさは長さ7〜10cm、幅1〜2.5cmで手術で使われるメスのような形をしており、名前にレモンと付くことからもわかるようにレモンのような爽やかな香りを放ちます。また、葉から抽出される精油は香水や石鹸、化粧品の香料に利用され、「コウスイボク」という和名もそこに由来するとのこと。ちなみにレモンバーベナの「バーベナ」はラテン語で「神聖な植物」を意味し、もう一つの和名の「ボウシュウボク」は明治時代の末期にコレラが流行した時のコレラ除けに使われたことが由来していると言われています。
レモンバーベナは精油として利用されることが多いため、あまり馴染みのないハーブかもしれませんが、実は様々な用途があります。例えばハーブティー。フランスでは定番の飲み物として親しまれているそうです。レモンのような香りに加え、酸味のあるさっぱりとした味わいで気分をリフレッシュさせたい時やリラックスしたい時におすすめです。特に、香りの強い若葉のフレッシュハーブをセレクトすると、レモンバーベナの爽やかな風味をより楽しむことができます。その他、魚料理や鳥料理、ピクルスやドレッシング、ケーキやシャーベットといったお菓子に至るまで、料理の香りづけにも活用できます。
また、「癒しのハーブ」とも呼ばれるレモンバーベナは、ハーブバスに利用するとリラックス気分を満喫できます(※)。ご家庭で栽培される場合、特に夏場に収穫量が多くなるので、使い切れない時の活用法としてもおすすめです。収穫量を持て余した時には、電子レンジなどで乾燥させるのも手段の一つ。乾燥させたものは香りが長持ちするので、ポプリを作って利用するといいでしょう。
ところで、レモンバーベナの他にも「レモングラス」や「レモンバーム」といった「レモン」と名の付くハーブがあります。特にレモンバームは名前を聞いただけではレモンバーベナとの違いがよくわからないという方も多いかもしれませんが、実はこれら3つのハーブは全く違う種類のハーブです。そこで、これらのハーブの違い、あるいは共通点についてお話ししたいと思います。
まず、レモングラス。こちらはイネ科オガルカヤ属の多年草で、南インド、スリランカ、東南アジア原産。タイ料理のトムヤムクンに使われるハーブとして有名です。レモンバーベナ同様、熱帯性のハーブなので寒さに弱いという特徴を持ちます。葉は約1mほどのススキのような細長い形をしており、その香りはレモンよりもレモンらしい香りと称されます。
次に、レモンバーム。南ヨーロッパ原産のシソ科セイヨウヤマハッカ属の多年草で、こちらは寒さに強いという特徴を持ちます。葉はギザギザとしたハート形をしており、レモンに似た香りを発します。ただし、セイヨウヤマハッカという和名を持つように、乾燥させると同じシソ科のミントの香りに近くなるとのこと。
このように、そもそものハーブの種類に加え、見た目や特性にも違いがありながら、共通するのが「レモンのような香り」を放つハーブであること。これは、これら3つのハーブにはレモンが含有する「シトラール」という成分が含まれているからなのです。とはいえ、これらをハーブティーにするとその違いは歴然と現れます。レモンバーベナが酸味のあるさっぱりとした味わいであるのに対し、レモングラスは香りの強さに反して酸味はなくクセもない味、レモンバームに至っては酸味がないどころか、やや甘みのあるまろやかな味わい、といった具合。
同じ「レモン」がつく名前のハーブでも似ているようでその個性は様々ですね。ぜひ、これらのハーブティーの飲み比べをしてみては?
※アレルギーをお持ちの方や、服薬・通院中の方、妊婦・授乳婦の方は医師にご相談の上でお試しください。また、皮膚の刺激に弱い方のご使用はお避けください。
「レモン」と名の付くハーブはいろいろあるけれど、「レモンバーベナ」ってどんなハーブかわからないという方も多いかもしれません。
そこで、今回は「レモン」と付くハーブとの比較も交えながら、レモンバーベナについて深掘りしていきたいと思います。