2021/08/19 ハーブの魅力
カレンデュラ(学名Calendula officinails)は、エジプト、地中海沿岸原産のキク科の一年草植物で、和名は「キンセンカ(金盞花)」「トウキンセンカ(唐金盞花)」。ヨーロッパではその花びらが古くから食用として利用されていたといい、現在は世界中で栽培されています。別名で「ポットマリーゴールド(Pot marigold)」とも呼ばれ、「ポット(pot)」は食用を意味します。一般にマリーゴールドと呼ばれる観賞用のものは、フレンチマリーゴールドやアフリカンマリーゴールドと呼ばれる品種で、食用のハーブとして使われるものとは別の品種です。
カレンデュラ(Calendula)の名前は、ラテン語の「calendae」に由来していると言われており、「カレンダー」の語源にもなっているように「月の初日」を意味する言葉です。温暖な気候である原産地の地中海沿岸では一年を通して花を咲かせることから、カレンデュラという名前が付けられたと言われています。また、カレンデュラは日が昇るとともに花が開き、日が落ちると花が閉じることから、昔は花時計としても利用されていたのだとか。ちなみに、日本には江戸時代に中国から渡来したと言われており、和名のキンセンカ(金盞花)はその花の形に由来し、「金盞」は「金色の盃」を意味するとのこと。
カレンデュラは日当たりが良く、水はけの良い弱アルカリ性の土壌を好み、高さ50cmほどに生長します。秋に種を植え冬を越して春先に花を咲かせるので、比較的寒さに強いとされており、春から初夏にかけて花径10cmほどの鮮やかなオレンジや黄色の花を咲かせます。
カレンデュラの花びら「カレンデュラペタル」は、古くからエディブルフラワー(食用花)としてとてもポピュラーなハーブの1つです。主に料理のトッピングとして、サラダや米料理、魚料理の彩りに活躍します。その他、ドレッシングに混ぜたり、ケーキなどのお菓子やチーズ、ジャムの色付けにも使われます。色付けとしての利用では、サフランの代用としてカレンデュラペタルが使われることもあるそうです。ただ、高価なサフランに対し、「貧乏人のサフラン」という残念なネーミングで呼ばれることもあるのだとか。
また、カレンデュラペタルはハーブティーとして楽しむこともできます。フレッシュでもドライでもOKで、熱湯を注いだら、十分にエキスを抽出するため10分ほどおくのがポイントです。比較的味が薄いので、他のハーブとブレンドしてもいいでしょう。
カレンデュラペタルはエディブルフラワーとしての利用の一方で、古くからスキンケアに利用されてきた歴史も持ちます。古くは古代エジプトの時代から使われていたといい、クレアパトラが若返りのハーブとして愛したという言い伝えもあるそうです。中世ヨーロッパでは、カレンデュラペタルを植物性のオイルに浸けた浸出油が家庭に常備され、スキンケアに利用されていたとも。カレンデュラペタルから抽出されるエキスには、フラボノイドやカロチノイドといった成分が含まれており、実際、現在も多くのメーカーのスキンケア商品にカレンデュラペタルが使われています。
実は、カレンデュラペタルを使ったカレンデュラオイルはご家庭でも簡単に作ることができます。準備するものはカレンデュラペタル、オリーブオイルやアーモンドオイルといった植物性のオイル(美容用のもの)、蓋がきちんと閉まる保存瓶。カレンデュラペタルはドライタイプのものがおすすめです。作り方は至ってシンプル。事前に煮沸消毒をした保存瓶にカレンデュラペタルを瓶いっぱいに入れ、オイルをカレンデュラペタルを完全に覆うように注いで蓋をしたら、窓際など日の当たる場所に置きます。2~3週間経ったら、ガーゼでしっかり濾過し、新しいカレンデュラペタルとともに再び保存瓶に入れ蓋をします。同様に2~3週間置き、ガーゼで濾過、花びらを全てきれいに取り除いたら完成です。時間はかかりますが、とっても簡単に作ることができます。
また、このオイルを使ってカレンデュラクリームを作ることもできます。カレンデュラオイルと蜜蝋を入れ、湯せんにかけて完全に溶かします。粗熱が取れるまでかき混ぜたら、保存容器に入れて固まるまで置いておく、とこちらも作り方は簡単、リップクリームやハンドクリームとして使うことができます。その他、カレンデュラペタルは布袋に入れてバスサシェとしても使うことができ、特に、日焼け後のバスタイムにおすすめです。お好みでラベンダーやローズの花をブレンドするのもいいでしょう。
ぜひ、食用にもスキンケアにも使えるカレンデュラペタルを取り入れて、日々の生活に彩りと潤いをプラスしてみては?
※アレルギーをお持ちの方や服薬・通院中の方は、医師にご相談の上でお試しください。また、妊婦・授乳婦の方、皮膚の刺激に弱い方のご使用はお避けください。
今まで様々なハーブをご紹介してきましたが、今回は、花びらを使ったハーブ「カレンデュラペタル」をご紹介。エディブルフラワーの代表格とも言えるカレンデュラペタルの魅力を深掘りしていきたいと思います。