2015/09/09 スパイスと逸話
ターメリックは、熱帯・亜熱帯を中心にアジア、アフリカ、中南米と世界中に分布しているショウガ科の植物です。
中国、タイ、インドネシアでも栽培されていますが、原産地であるインドが生産・輸出量ともに世界一です。
その量は年間で約35万トンにものぼります。
ターメリックは熱帯の植物のため、インドの中でも暑い南部が主要な生産地となっています。
インドの気候は、一年を通じてターメリックの栽培が可能ですが、雨季(7月~1月くらい)と乾季(2月~6月くらい)があり、雨季には畑が水びたしになってしまいます。
そのため、乾季の6月に植え付け、2~4月に収穫を終え、雨季に入る前に天日乾燥まですませるという日程で作業が進められています。
栽培は比較的小規模の農家が多く、機械化はあまり進んでいません。
ターメリックは基本的に乾燥に弱い植物ですが、雨が多すぎても少なすぎてもよくないそうです。
収穫は、芋掘りを想像してもらうと分かりやすいかと思います。
葉が枯れてきたら取り除き、鍬で耕すように根茎を掘り起こし、バルブとフィンガーに分けて収穫します。
収穫したターメリックは、いったんボイル(煮沸)されます。
加熱することで色素が分散し、あの均一で鮮やかな黄色になるのです。
ボイルの時間は40分~1時間くらいです。
ボイル後は地面に広げて2週間~1ヶ月天日乾燥させます。
ボイルと乾燥を済ませたターメリックは、地元で開かれる市場(オークションセンター)に出荷、価格を競り販売されます。
この辺りは日本のJAや築地市場と同じですね。
オークションでは生産者とディーラーがぶつかりあいます。
ディーラーは乾燥具合、色、サイズ、風味といった項目から値段を決めます。
輸出する場合はさらに手間がかかります。
オークション後にシッパーと呼ばれる輸出業者のもとに集められ、さらなる選別作業を経る必要があります。
インドには「スパイスボード」というスパイス全般を扱う公機関があります。
各スパイスには、きびしい製品基準があり、それをクリアすることではじめて輸出が許可されるのです。
いかがでしたか?
普段なにげなく口にしているターメリックですが、日本に来るまでに、意外と手間暇がかかっているのです。
カレーを食べる時、ふと遠い異国に思いをはせてみるのも良いかもしれませんね。
カレーのスパイスとして日本でもおなじみのウコンことターメリック。
最近では、ドリンクやサプリメントなどで耳にすることも多いと思います。
今回は、そんなターメリックの生産地と生産方法について紹介します。