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世界で最も複雑で多様なミックススパイス「ラス・エル・ハヌート」

2024/04/04 世界のミックススパイス

世界には様々なミックススパイスが存在しますが、中でも最も複雑で多様と言われているのが「ラス・エル・ハヌート」です。今回は、この魅力的なミックススパイス「ラス・エル・ハヌート」をご紹介したいと思います。

独自のブレンドからなる世界に二つとないミックススパイス

「ラス・エル・ハヌート」とは、北アフリカが発祥のミックススパイスで、モロッコ、アルジェリア、チュニジアといったマグリブエリアで広く使われています。特にモロッコでは国民的スパイスと呼ばれることもあるそうです。

ラス・エル・ハヌート(Ras el hanout)はアラビア語で「店の長」「店主」「店の頭」を意味する言葉で、「店の看板スパイス」と解釈されます。この名前が意味する通り、スパイス商人が提供する最高のミックススパイスであり、最も珍重するスパイスブレンドとされています。

このミックススパイスには唯一のレシピはなく、店、メーカー、家族によってそれぞれ独自のブレンドを持っており、世代を超えてレシピが受け継がれているものもあるそうです。というのも、どれだけの種類のスパイスを含むべきか、どのレシピを使うべきか、といった厳密なルールがあるわけではなく、それぞれの地域やメーカー、家族ごとのオリジナルブレンドであるため、同じものは二つと存在しないと言われています。

ラス・エル・ハヌートの魅力は多様なスパイスブレンドにあり

ラス・エル・ハヌートは、とにかく沢山のスパイスがミックスされているのが特徴で、その種類も実に多様。通常のブレンドでも十数種類、多いもので35種類、さらには100種類以上というものも存在するといい、実際、「99種類のミックススパイス」という売り文句もあるほど。

スパイスブレンドの構成としては、北アフリカ料理における基本スパイスであるクミン、ブラックペッパー、ジンジャー、ターメリックをベースに、パプリカ、カルダモン、クローブ、シナモン、コリアンダー、ナツメグ、オールスパイスといったスパイスを使用するのが一般的で、地域によってはフェンネルシードやアニスといった特有のスパイスも使われるとのこと。これらのスパイスは基本的にホールのものを使用し、粉砕してブレンドしていきます。

ちなみに、ニンニク、サフラン、ハーブ類などは、個別に料理に加えるのが一般的で、特に現地産のラス・エル・ハヌートには含まれないことが多いとのこと。また、ものによっては防腐剤としてほんの少量の塩が含まれているものもありますが、基本的には塩は加えないとされています。

ラス・エル・ハヌートは、ほとんどのスパイスと同様、直射日光を避け、涼しく乾燥した場所に保管すれば、1年以上保存できるそうです。

多様なスパイスブレンドが織りなす豊かな風味

ラス・エル・ハヌートの魅力は、その豊かな風味と香りの高さにあります。また、意外にも辛さがないのも特徴です。

伝統的な使用方法としては、肉や野菜、魚にすり込んでグリルにしたり、ラム肉や鶏肉などのシチューの調味料として、その他、クスクスやパスタ、米、じゃがいもへの風味づけ、マリネなどに使われます。また、モロッコをはじめとする北アフリカでポピュラーな煮込み料理タジンを本格的にする重要な隠し味としても使用されます。

さらに、料理だけではなく、クッキーやドーナツ、アップルケーキ、キャロットケーキ、プディングといったスウィーツにも使われます。

料理に豊かな風味と深い味わいを与えてくれるラス・エル・ハヌートは、北アフリカの伝統料理に限らずあらゆる料理に活用できます。特に、バーベキューにはピッタリなのでおすすめです。

本来であれば、現地で本場のラス・エル・ハヌートを調達するに越したことはないのですが、日本のスパイスショップでも購入可能です。また、自分好みのスパイスをセレクトして自作のラス・エル・ハヌートにチャレンジしてみるのもいいですね。ぜひ、ラス・エル・ハヌートをいつもの料理にプラスしてみては。