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SPICE STORYスパイス物語

コショウの成分を徹底分析!

2024/10/08 スパイスの魅力

スパイスの王様と言われる「コショウ」。どのご家庭にも必ずあると言っていいスパイスですが、定番の黒コショウだけではなくさまざまなタイプがあり、その製法の違いも興味深いスパイスです。今回はそんなコショウを徹底分析してみたいと思います。

収穫時期と製造方法でコショウを分類

コショウ(ペパー)は、収穫のタイミングや製造方法の違いにより、以下の4種類に分類されます。

黒コショウ(ブラックペパー)

完熟前の緑色のコショウの果実を収穫し、果皮ごと天日干しまたは機械で数日間乾燥させたもので、乾燥させる前に短時間熱湯で湯通しする場合もあります。乾燥の際、種子の周りの果皮が縮み、薄くシワのある黒い層ができます。こうして黒色になったものが黒コショウで、シワのある果皮の部分はそのまま剥がさずに使用されます。

緑コショウ(青コショウ、グリーンペパー)

黒コショウ同様、完熟前の緑色の果実を収穫しますが、黒コショウのように乾燥させずに加工したもの。塩蔵やピクルスといった生コショウタイプのものから、フリーズドライ加工したものまで、いずれも鮮やかな緑色を保つための加工処理がされています。

白コショウ(ホワイトペパー)

完熟した赤色のコショウの果実を収穫し、1週間ほど水に浸して発酵させた後、柔らかくなった果皮を取り除き乾燥させて種子のみになったもの。発酵の工程を経ず、果皮を機械的に除去する場合もあります。黒コショウのようなシワのある果皮がないためツルッとした見た目をしており、大豆のような色をしています。

赤コショウ(レッドペパー、ピンクペパー)

白コショウ同様、赤色に完熟した果実を収穫しますが、白コショウのように果皮を剥がさずにそのまま天日乾燥させたもので、赤い果皮にはシワが入っています。塩水や酢で保存するなど、緑コショウ同様の方法で赤色を保つ加工処理がされる場合もあります。ちなみに、ピンクペパーとして流通しているものの多くは、ウルシ科のコショウボクやサンショウモドキ、セイヨウナナカマドの木の実を乾燥させたもので、コショウとは別の植物です

辛味と香りは果皮にあり!

次に、コショウの成分を見ていきましょう。コショウの化学成分は、辛味成分、香味成分、その他の成分、の3つに分類されます。

辛味成分は、主に有機化合物アルカロイドに分類されるピペリン(piperine)やシャビシン(Chavicine)、ピペリンの構造内に存在するピペリジン(Piperidine)などで構成されています。ピペリンは外側の果皮と種子の両方に存在し、黒コショウには質量比で49%含まれており、白コショウにはそれよりわずかに多く含まれているとのこと。また、シャビシンはピペリンより強い辛味を持っています。

香味成分は、有機化合物テルペンに分類されるピネン(pinene)、リモネン(limonene)、フェランドレン(phellandrene)、カリオフィレン(Caryophyllene)などで構成されています。ピネンはマツをはじめとする多くの針葉樹に含まれる香りのもとになっており、リモネンはその名の通り強いレモン臭が特徴で、柑橘類の果皮に多く含まれる香りのもとになっている化合物です。フェランドレンはペパーミントとわずかな柑橘系の香りを持ち、カリオフィレンはクローブやローズマリーなどの精油に多く含まれる化合物です。これらの化合物が組み合わさることで、樹木や花のような香りと柑橘系のフルーティな風味が生み出されています。

辛味成分のピペリンとコショウの精油に含まれる香味成分は、コショウの果実が完全に熟す前に増加するとされています。また、香味成分は黒コショウに残った外側の果皮の部分に含まれており、果皮に含まれる香味化合物の割合が高いほど、より強い香りが付与されるとのこと。発酵やその他の加工により果皮が除去される白コショウは、これらの香りの成分がほとんどなく、辛味成分のピペリンもいくらか減少します。そのため、白コショウは比較的マイルドで繊細な風味となっているわけです。

その他の成分としては、ポリフェノールやフラボノイドといった抗酸化物質や、カリウム、カルシウム、マグネシウムといったミネラルが含まれており、これらの成分も果皮の部分に多く含まれています。果皮の部分は白コショウの製造工程において廃棄されてしまいますが、豊富な成分が含まれていることからその利用価値を示す論文もあるほどです。

特徴を生かして上手に使い分け

ここまで説明してきたように、コショウは果皮の部分に辛味成分や香味成分を多く含んでいることがわかります。そのため、未熟なコショウの果実を果皮ごと乾燥させた黒コショウは香りと辛味が強く、スパイシーな風味を特徴としています。牛肉や青魚など臭いの強い食材やカルボナーラなど味の濃い料理に良く合い、ミックススパイスにもおすすめです。

一方、果皮を取り除いた白コショウは、香りや風味はマイルドでありながら辛味はそれなりにあるので、料理の風味や色を損なわずに辛味をプラスすることができます。ホワイトシチューや白身魚のムニエル、オムレツなど、色の淡い料理や素材そのものの風味を生かしたい時に使うのがいいでしょう。白コショウの繊細な香りは加熱により飛びやすいので、調理の最後か食べる直前に加えるのがポイントです。

未熟なコショウの果実を乾燥させずに加工した緑コショウは、香りと辛味がフレッシュな形で保たれています。鮮やかな緑色、フルーティで爽やかな香りとすっきりとした辛味を特徴としています。そのきれいな緑色は、白身魚のカルパッチョやサラダ、スープにそのままトッピングするだけで彩りがグレードアップします。彩りにプラスして爽やかな風味や辛味を楽しむこともできるので、オリーブオイルベースのドレッシングやマヨネーズ、フレンチではソースにも使われます。肉料理や魚料理との相性も良く、ムニエルやステーキの仕上げに散らすと味のアクセントにもなります。

対して、完熟した果実を加工した赤コショウは、全体的に香りも辛味もマイルド。乾燥させたタイプは黒コショウと同様の使い方もできますが、加熱すると風味が飛ぶので、その赤色を生かしてサラダやマリネといった料理の彩りとして使うのがおすすめです。

それぞれのコショウの特徴がわかると料理の幅も広がります。ぜひ上手に使い分けてみて下さい!

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