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スパイスを使ったリースやアレンジでヨーロッパ風クリスマス!

2020/11/20 スパイスとイベント

クリスマスツリー同様、クリスマスの飾り付けに欠かせないのがクリスマスリースですね。そこで、まずはリースについて簡単にお話ししたいと思います。

リース(Wreath)とは、花や葉などの植物で作られた装飾用の輪のことで、古くはローマ帝国の時代に、威信の象徴として祭事の際に身につけられていたとのこと。花や枝、月桂樹の葉が用いられることが多く、装飾用というよりは、主に冠として使用されていたようです。

リースといえば、モミの枝葉をメインに装飾するクリスマスリースを思い浮かべる方が多いと思いますが、よりキリスト教の伝統に則したものとして「アドベントリース(Advent Wreath)」というものがあります。こちらは壁に掛けるタイプのリースではなく、4本のキャンドルがついた常緑樹のリースをテーブルの上などに水平に置くタイプのもの。丸い形は神の無限の愛、常緑樹の葉はキリストがもたらす永遠の命の希望を示すといい、4本のキャンドルにもそれぞれ意味があります。このリースをアドベントの最初の日曜日に置き、クリスマス前の最後の日曜日まで毎週1本ずつ、家庭では日々の祈りの時間に、教会では祈禱の際にキャンドルに火を灯すのだそう。これらの4本のキャンドルに加え、「キリストのキャンドル」と呼ばれる白いキャンドルをリースの中心に置くケースも多いとされ、このキャンドルはクリスマスイヴまたはクリスマス当日に火を灯すとのこと。

このように、リースはキリスト教の伝統に大きな関わりのあるものですが、もう一つ、ヨーロッパに伝統的に伝わるリースがあります。それは、「トロッケンゲシュテック」と呼ばれる飾り花の一種でスパイスをふんだんにあしらって作られるリースです。

オーストリア・南ドイツに伝わる伝統工芸品

トロッケンゲシュテック(Trockengesteck)とは、主にオーストリアや南ドイツに古くから伝わる伝統手工芸品のことで、ドイツ語で「トロッケン(Trocken)」は「ドライ」、「ゲシュテック(Gesteck)」は「フラワーアレンジメント」を意味します。つまり、この名前の意味からもわかるように、木の実やスパイスを中心に、花や果物などの植物もドライのものを使って作り上げる飾り花のことを言います。

この飾り花が伝統工芸品としてオーストリアや南ドイツに定着した背景には、古くは中世オーストリアのザルツブルグに遡ります。当時のヨーロッパではスパイスが金銀に匹敵する貴重な品として扱われていたことはご存知の通りですが、その頃ザルツブルグは岩塩の集積地として栄えていたとのこと。そこで、ザルツブルグの商人たちももれなくその富をスパイスの輸入に注ぎ込み、その贅沢な使い道の一つとしてスパイスの花束が作られるようになったことから、伝統として定着していったのだとか。

その装飾性は高く、アレンジメントのバラエティも豊富です。中でも、ドイツ語で「クランツ(Kranz)」と呼ばれるリースはその代表格で、丸い形が「永遠」を意味することからクリスマスに限らず一年を通して飾られるそうです。その他にも、ブーケのように花束状にまとめたものや、オーナメントのように球状にまとめて吊るすもの、馬蹄形の壁飾り、植木鉢のような円錐形の土台に埋め込んでツリー状にしたものなどなど、様々なアレンジメントがあります。

スパイスも植物も様々なものが使われますが、よく使われるものとしてはクローブ、シナモンスティック、スターアニス、松の実やクルミといった木の実が挙げられます。これらの材料をブイヨンワイヤーと呼ばれるコイル状の金のワイヤーで巻きつけて作り上げていきます。このワイヤーもドライの植物の色合いに馴染むよう、アンティーク調の渋いゴールドをセレクトすることがポイントになります。基本的には自然素材を使って作りますが、魔除けの意味があるとも言われる光り物として小粒のパールを加えたり、リボンをあしらうことでナチュラルな風合いに華やかさが加わり、例えばウェルカムボードやリングピローといったウエディングアイテムにも活用ができるそうです。

長期間飾って楽しめるのが嬉しいポイント

このトロッケンゲシュテックの良い所は、型崩れがしにくく長期間飾っておくことができること。スパイスを使うことで保存の観点からも優れています。ちなみに、以前の記事でご紹介した「オレンジポマンダー」もトロッケンゲシュテックの一つと言われています。こちらも生のオレンジを使用するにも関わらず、クローブをオレンジの周りに刺していくのでうまくいけば長期間経っても腐ったりカビが生えることがないそうで、スパイスの力の大きさを感じます。

と、ここまでご紹介してきましたが、トロッケンゲシュテックは技術的にハードルが高そうと思われる方は、素敵な器にスパイスや木の実を無造作に置くだけでも十分雰囲気のあるアレンジになります。モミの枝の上にスパイスや木の実をあしらい、アドベントリース風にキャンドルを置くのも素敵です。

ぜひ、スパイスを使ったリースやアレンジメントでお家を彩り、ヨーロッパの家庭さながらの温かい雰囲気のクリスマスを迎えてみてはいかがでしょうか?