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SPICE LESSONスパイスレッスン

SPICE LESSON 3マスタードシードとターメリック

2017/12/14


辛味のスパイス「マスタードシード」と色味のスパイス「ターメリック」の隠れた魅力についてお話ししていきます。

南インド料理にかかせないマスタードシード

辛味のスパイスに属する「マスタードシード」は、すり鉢で軽くすり潰した後にビネガーや塩、砂糖を加えて粒マスタードにし、そのままソーセージなどと一緒に食べるか、お肉の下ごしらえに使うのが一般的ですよね! これは薬味としての辛さやお肉の臭みを消してくれることを期待した使い方ですが、「マスタードシード」には辛味をつけたり、酵素の働きで食材の臭みを消したりする以外にもう1つ、「ナッツ臭を出す」という大きな役割があります。

南インドカレーを作る時は、フライパンに油と「マスタードシード」を入れて火にかけ、油に成分を抽出してからタマネギを炒めていきます。この時カレーにはカラシの味や辛味がつく訳ではありません。「マスタード」の香ばしいナッツ臭をだすことが目的なのです。

カレーを作る際に、ホール(スパイスの原型)のスパイスを油で炒めてその油に香りを移すことを「テンパリング」と言います。そしてこの「テンパリング」に使われるスパイス達を「スタータースパイス」と呼びます。
「マスタードシード」は南インドカレーで使われる「スタータースパイス」の代表です。油に「マスタード」の香ばしさを移してから具材を炒めると、カレー全体の香味がまとまります。
カレー以外にも、ニンジンやレンコン、大根などの根菜類をマスタードシードで炒めて塩と胡椒で味付けするだけでも美味しいインド料理ができあがります。焦げてしまうということ以外、滅多に失敗することのないスパイスですので、ぜひ気軽に使ってみてください。根菜類の時短レシピが増えると思います!

味付けにも一役かっているターメリックの魅力

色味のスパイスの中で特に注意が必要なのは「ターメリック」です。
ターメリックはお料理に食欲をそそる黄色い色味をつけてくれますが、その香味は土臭く苦味があります。ですから調理する際は、必ず下ごしらえや調理の初期段階に使って良く火を通すことが必要です。使用量にも注意しなければなりません。4-6人分のカレーを作る時でも小匙1/2程度で十分、1度のお料理で小匙1杯を使うことはまずありません。

しかし、この土臭さにも実は大きな役割があります。それは、他のスパイス達と食材とを調和させるプロデューサー力! インド料理ではこの土臭い独特の香りこそがお料理全体の香味をまとめてくれる大切な存在だと考えています。ターメリックを使うことでお料理の香味が底上げされるのです。
『カレーに黄色い色をつけるだけなら「ターメリック」は入れなくても良いのでは?』と思う方も多いのですが、「ターメリック」の役割は色付けだけではないのです!

試しにメカジキなどのお魚を2切れ用意し、表面に少量の「ターメリック」と塩、胡椒、生姜、ニンニクを揉み込んで10分ほどマリネしたものと、「ターメリック」を揉み込まずにマリネしたものをフライパンで焼いてみてください。「ターメリック」を揉み込んだ方が味に深みがあり、香りが良いのがわかると思います。
スパイス達には色味や辛味をつけるという大きな役割の他に、このような副次的な役割もあるのです!


執筆者紹介

IKU

ブレンドスパイス研究所|スパイスコーディネーター

植物の種や葉、果実、蕾などを乾燥させたスパイスを調合していると、その複雑な香味が知らない国やそこに暮らす人々を感じさせてくれます。

スパイスは異国とわたしを繋げてくれる『特別なアイテム』であると同時に、わたしをメンテナンスしてくれる『癒しのアイテム』でもあります。

「スパイス」を通して皆さんと繋がり、皆さんも新しい何かにワクワクできたら!そんな思いを込めて、スパイスセミナーをはじめとした、スパイスに関わる様々なお仕事をさせて頂いています。

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