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SPICE LESSONスパイスレッスン

SPICE LESSON 7プラスマイナス“0”の香味

2018/04/12

3つに分類される香味のスパイスのうち、種でもなく葉っぱでもないスパイシー系スパイス(ナツメグ・メース・クローブ・シナモン・オールスパイス・スターアニス)は、見た目は茶色で地味なのに香味は強壮的です。

ナツメグはハンバーグに、シナモンはアップルパイやカフェラテに、スターアニスは豚の角煮などの中華料理でお馴染みのスパイス。クローブはその甘く強壮的な香りから、お肉の臭みを消してくれるスパイスとしてその名を馳せています。

スパイシー系スパイスの中で馴染みがないのは、メースとオールスパイスくらいでしょうか?!
メースはナツメグの種皮の部分なので、ナツメグと同じような香りです。とても綺麗な赤みがかったオレンジ色をしていて、ナツメグよりもずっと繊細な香味なので、プリンや生クリームなどの優しい味のお菓子に使われる、ちょっと洗練されたスパイスです。

3つのスパイスをミックスした香味

オールスパイスは、数種類のスパイスをブレンドした「ミックススパイス」だと思われがちですが、フトモモ科の常緑樹の果実を乾燥させた単体のスパイスで、ジャマイカなどの中南米が原産です。

ナツメグとシナモンとクローブをミックスしたような香味がすることから、オールマイティーのオールをとってオールスパイスと命名されたとも言われています。

こんな名前の由来からもわかるように、オールスパイス1つでナツメグとシナモンとクローブの香味が楽しめます。非常に使いやすいので「オススメのスパイスは?」と聞かれた時には、必ずこのオールスパイスをイチオシしています。

主役にしてはいけないスパイス達

スパイシー系スパイスの強い香味は、甘い香りが中心です。甘い香りに誘われてうっかり心を許してしまうと大変です。ほんの少しの匙加減であっという間にお料理を台無しにする破壊力を持っています。

スパイシー系スパイスの1番の役割は、その強壮的な香りで「食材」の臭みを消すこと。通常はパウダーで使います。分量は200gのひき肉に対して耳かき1-2杯分くらいで十分、ごく少量を調理の下ごしらえか初期段階にのみ使います。

クローブ・オールスパイス・スターアニスはホールのまま煮込み料理に使ったりもしますが、お鍋1杯に対してクローブは3粒程度、オールスパイスなら5粒程度、スターアニスはパキッと折った破片を3つくらい入れてあげれば十分です。
出来上がって味見をした時に、スパイシー系スパイスが入っているかどうかが分からないくらいが正解の分量なのです。

「ハンバーグ」を使い方の基本だと覚えておくと良いですよ。
ひき肉に少量のナツメグを揉み込んで、しっかりと焼き上げますよね。これが、スパイシー系スパイスの基本的な使い方です。決して、振りかけたり、調理の仕上げで使ったりはしません。素材に練りこんだり、マリネするなどの下ごしらえで使い、油でしっかりと焼いたり、煮込むことで素材の臭みとスパイス自体の強壮的な香りを相殺します。

ハンバーグを食べた時に、ナツメグの香りがフワッとしたら入れすぎです。ナツメグの香味でひき肉の臭みを相殺したいのですから「プラスマイナス“0”の香味が理想」だと覚えてください。


執筆者紹介

IKU

ブレンドスパイス研究所|スパイスコーディネーター

植物の種や葉、果実、蕾などを乾燥させたスパイスを調合していると、その複雑な香味が知らない国やそこに暮らす人々を感じさせてくれます。

スパイスは異国とわたしを繋げてくれる『特別なアイテム』であると同時に、わたしをメンテナンスしてくれる『癒しのアイテム』でもあります。

「スパイス」を通して皆さんと繋がり、皆さんも新しい何かにワクワクできたら!そんな思いを込めて、スパイスセミナーをはじめとした、スパイスに関わる様々なお仕事をさせて頂いています。

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