2019/05/16
インドカレー店のレジの横には、必ずフェンネルシードそのままか、フェンネルシードがカラフルなチョコレートや砂糖でコーティングされた「お口直し」が置いてあります。
黄緑色で、小さな籾殻が付いたままのお米のような形をしていて、クミンシードとよく似ています。
焼肉を食べた後にレジでクールミントガムやハッカの飴をもらいますよね?
インドカレー店でのフェンネルシードは、まさにこれと同じなのです。怖がらずに1つまみ口に含んで軽く噛んでみてください。
フェンネルの甘く爽やかな香味が口に広がり、食後のお口の中をさっぱりとさせてくれます。
フェンネルシードの香味の特徴は、何と言っても甘く爽やかな香りです。
欧米では、この甘い香味を利用してフェンネルはクッキーやキャンディーなどにも使われています。
麻婆豆腐やトンポーローなどの中華料理に欠かせない「五香粉(ウーシャンフェン)」の主要スパイスでもあり、洋酒の「アブサン酒ペルーノ」の主要原料でもあります。
歯磨き粉やドロップの香料としても使用されている優れものなんです!
「フェンネルシード」と言われると聞きなれないかもしれませんが、香味を確認してみれば、案外、いろいろな所でフェンネルを使った商品に出会っていることを、香味が思い出させてくれるでしょう。
ちょうど今の季節は、新ニンジンがおいしい季節です。
普段はなかなかお目にかかれませんが、この時期は葉っぱが付いたままのニンジンを手に入れることができますよね。ニンジンの葉を細かく刻んでみると、なんとフェンネルに似た香りがするから驚きです。
似たよう香りのものは相性が良いので、自分の嗅覚を信じて、食材とスパイスをマッチングしてみましょう! 香りから食材とスパイスを繋げていけるようになると、お料理でのスパイス活用がぐんっと広がります。
ニンジンは、一口大にカットした「バターソテー」や、千切りしたニンジンを甘いドレッシングで和えたフレンチのお惣菜「キャロットラペ」が有名です。
まずはその定番メニューにほんの少しだけ、このフェンネルシードをプラスしてみましょう。
スパイスは油と相性が良いので、バターソテーなら、バターをフライパンで溶かしている時に、一緒にフェンネルシードを加えます。
キャロットラペなら、はちみつ、塩、胡椒、そしてワインビネガーなどの酸味をボウルに入れて撹拌する時に、一緒に入れてしまいます。その後、オリーブオイルを加えてよく混ぜれば、いつものドレッシングにほんのりフェンネルの香味が加わります。
分量はニンジン2本に対して、ホール(原型)ならMAX小さじ1/5くらいにとどめましょう。パウダーを使う場合は、シードの1/3から半量で良いと思います。
スパイスの分量は、最初は極力控えめにして様子を見るのが得策かもしれませんね! 次に作る時にその分量を目安に、好みで差し引きしていきます。
フェンネルの甘く、そして少し苦味のあるエキゾチックな香味は、甘い食材と相性が抜群です。
ニンジンなどのお野菜もよく炒めると甘味を感じますよね? そういった食材に、できればブラックペパーと一緒に使用するのがオススメです。
実は、アップルパイの隠し味としても、このフェンネルシードは使われています。
ですから、リンゴとの相性も抜群です。
秋になったら、りんごと蒸し鶏を先ほどのキャロットラペのドレッシングで和えて食べるのもオススメです。
冷えないように、りんごは常温にして使ってくださいね!
ブレンドスパイス研究所|スパイスコーディネーター
植物の種や葉、果実、蕾などを乾燥させたスパイスを調合していると、その複雑な香味が知らない国やそこに暮らす人々を感じさせてくれます。
スパイスは異国とわたしを繋げてくれる『特別なアイテム』であると同時に、わたしをメンテナンスしてくれる『癒しのアイテム』でもあります。
「スパイス」を通して皆さんと繋がり、皆さんも新しい何かにワクワクできたら!そんな思いを込めて、スパイスセミナーをはじめとした、スパイスに関わる様々なお仕事をさせて頂いています。
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