2022/09/08
大昔は貴重品として高額で取引がされていた胡椒、その保有量が権力と財力の証とされていたのは、今から約1500年前の古代ローマの時代だそうです。
現在では、胡椒、特にブラックペパーはどの家庭でも必ずと言ってよいほど使われている、言わば食卓のマストアイテム! 世界中で親しまれていますよね!
その用途は幅広く、目玉焼きからスープにラーメン、サラダに野菜炒め、ステーキや唐揚げ、私はバニラアイスクリームにさえも、胡椒を振りかけて楽しんでいます。
皆さんが胡椒を使う時は、料理を少しサッパリとさせたい時や、味にパンチを出したい時、あるいはもう、反射的にというかクセで振りかけてしまうこともあるのではと思います。
これは、胡椒の持つ爽やかさや柑橘系の香味が料理の油っこさを緩和してくれたり、胡椒の辛味がアクセントとなってお料理がより美味しく感じられるからに違いありません。
そして何よりも振りかけて使うことができる数少ないスパイスであることも、胡椒の消費量が世界でNo.1である所以だと思います。
こういった胡椒の臭み消しや辛味のアクセントの利用は、私たちが感覚的に知っている胡椒の使い方ですが、実は胡椒にはもう1つの隠れた使い道があるんです。
世界中にあるブレンドスパイスには胡椒が配合されていることがとても多いのですが、それは胡椒が他のスパイス同士を繋ぐ「調整役」をしてくれるからに他なりません。
スパイスは嗜好品であると同時に、嗅覚は記憶とも深いつながりがある為、頻繁に使われる胡椒の香りは私たちにとって親しみのある安心できる存在なのです。
馴染みのない香味のブレンドでも、そこに親しみのある胡椒の香味が混ざると、それだけで、親和度が大きく変わります。安心感と言っても良いかもしれません。
ですから、私がスパイスを調合する時には、非常に高い確率でブラックペパーを配合することにしています。胡椒の力を借りて、より多くの人が親しみを持ってそのブレンドを受け入れられるようにするための1つのテクニックでもあるんですね。
セージやタイム、オレガノ、ローズマリー、フェンネルにキャラウェイ、ディル、そしてナツメグやシナモンにも、私は必ずブラックペパーをお供として加えます。
自宅でささっと料理を作る時は「調合」と言える程ではありませんが、香味が強いスパイスには同量程度のブラックペパーを混ぜ込んであげて、香味のバランスをはかります。
これまでも「スパイスは3種類以上を混ぜて使う」という鉄則をご紹介してきましたが、何はなくともブラックペパーがあれば、ある1つのスパイスの香味が突出しすぎてお料理が台無しになってしまうようなことがないので安心なのです。
使いたいスパイスとブラックペパー、そしてもう1つ他のスパイスをブレンドする余裕がある場合は、「Lesson8, Lesson11」をご参考にスパイスを選んでみてください。
ハーブ系スパイスであればパセリを混ぜたり、メインとなるスパイスと同じグループの中から香味が優しいものを選ぶのが良いかと思います(スパイスのグループは「Lesson1、lesson2、Lesson3、Lesson4」を参照ください)。
スパイスは嗜好品ですから、とにかく自分の嗅覚を信じて「ブレンドしてみる!」ことが使いこなす第一歩ではないかと思います。
また、自分は好きな香味でも、パートナーや家族、友人は得意ではないかもしれない?!
そのことさえ忘れなければ、皆んなが美味しいと思う調和の取れた香味を探す努力もきっと楽しいはずです。
ぜひ、
「失敗を恐れずにスパイスを使ってみる」
そしてその時は、
「3種類以上を混ぜる」
そして、
「自分が好きな香味でも一緒に食べる人は苦手かもしれない?!」
そんな想像力を持ってスパイスを使い続けてみてください。
使い続けた時に、自分好みの、そして近くにいて一緒にご飯を食べる周りの人も、みんなが美味しいと思うスパイスの使い方が身に付いていると思います。
ブレンドスパイス研究所|スパイスコーディネーター
植物の種や葉、果実、蕾などを乾燥させたスパイスを調合していると、その複雑な香味が知らない国やそこに暮らす人々を感じさせてくれます。
スパイスは異国とわたしを繋げてくれる『特別なアイテム』であると同時に、わたしをメンテナンスしてくれる『癒しのアイテム』でもあります。
「スパイス」を通して皆さんと繋がり、皆さんも新しい何かにワクワクできたら!そんな思いを込めて、スパイスセミナーをはじめとした、スパイスに関わる様々なお仕事をさせて頂いています。
あなたの暮らしにスパイスを
ブレンドスパイスで楽しく!美味しく!健やかに!
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