2020/05/14
これまで、スパイスには食材の臭みを消したり、辛味や色味、香味をつける役割があるとお話ししてきましたが、スパイスにはもう1つ、「味覚を錯覚させる」という面白い作用があります。
例えば、塩水を口に含んだ後にお水を飲むと、お水はとても甘く感じられますよね?
これは「味覚の錯覚現象」と言われるものですが、スパイスにも私たちの味覚に、この「錯覚」を起こさせるものが沢山あるんです。
その代表的なものが、甘い香りのするスパイス。
「バニラ」や「シナモン」などです。
例えばカスタードクリームにバニラをよく使うのは、バニラの甘い香りがクリームの甘さを強調してくれるからなのです。
これをスパイスサイエンスでは「スパイスの相乗効果」と言います。
バニラそのものは甘いどころか少し渋いような味がします。
バニラはお菓子に甘い味をつけるためではなく、お菓子に使われている「砂糖などの甘さ」を、甘い香りで「強調する」ために使われているのです。
クッキーなどの焼き菓子に使われる「アニス」や「フェンネル」、杏仁豆腐の香味づけに使われる「スターアニス」など、アネートルという成分が含まれたスパイスも、甘い香りが魅力です。
これらのスパイスがよくお菓子に使われるのは、砂糖の甘さを強めてくれる甘い香りを持つスパイスによって、私たちの味覚が錯覚を起こすので(甘さが相乗される)、実際に砂糖の使用量を減らすことができるからなのです。
香りはとっても甘いのに、砂糖の量が控えめであれば、後味もさっぱりとして上品な風味になります。
スパイスの「相乗効果」を利用すれば、経済的にも美味しいお菓子が作れますね!
お菓子を作るのはちょっと面倒という方にもオススメなのが、甘い香りのスパイスをお砂糖とミックスしたフレーバーシュガーです。
ティータイムのお茶に利用したり、シュガートーストに使ってみてください。
とってもリッチな風味がします。
作り方は簡単です。
スパイスと砂糖をだいたい1:3の割合で混ぜるだけ。
もし、少し手間をかけられるなら、お砂糖をすり鉢や乳鉢ですり、細かくしてください。
細かい粒子のスパイスパウダーときれいに混ざりあって、美味しさが増します。
家庭で使いやすく、オススメなのがシナモンロールに使われている2つのスパイス、「シナモン」と「カルダモン 」です。
フレーバーシュガーを作る時は、市販のパウダースパイスを使うのがおすすめです。
ホールを自分で挽いた場合は、どうしても粒子が粗めになってしまうからです。
乳鉢で細かくしたお砂糖にスパイスをブレンドします。
そのまま乳鉢の中で優しくすりながら混ぜ合わせたら出来上がりです。
密閉できる瓶などに入れて保存しましょう。
バニラやシナモン、カルダモン以外のスパイスも使って、ぜひ「スパイスシュガー」を作ってみてくださいね。
タイの果物屋さんでグリーンマンゴー(黄色く熟す前のマンゴー)を買うと、唐辛子と砂糖を混ぜた「チリシュガー」を一緒につけてくれます。
こんな風に、酸味のある果物に「スパイスシュガー」をつけると、ちょっとしたアジアの味も再現できますよ!
また、インドのミルクティー「チャイ」に使われる「チャイミックス」や、中華料理で有名な「五香粉(ウーシャンフェン)」などのミックススパイスとお砂糖をブレンドしたものは、お肉の下味付けなどにも活用できます。
スパイスは嗜好品なので、色々なアイデアが浮かんだら、ぜひ怖がらずに試してみてください!
ブレンドスパイス研究所|スパイスコーディネーター
植物の種や葉、果実、蕾などを乾燥させたスパイスを調合していると、その複雑な香味が知らない国やそこに暮らす人々を感じさせてくれます。
スパイスは異国とわたしを繋げてくれる『特別なアイテム』であると同時に、わたしをメンテナンスしてくれる『癒しのアイテム』でもあります。
「スパイス」を通して皆さんと繋がり、皆さんも新しい何かにワクワクできたら!そんな思いを込めて、スパイスセミナーをはじめとした、スパイスに関わる様々なお仕事をさせて頂いています。
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